サーティワン苦境の影にコンビニあり

一方、サーティワンは、日本の店舗は現在99%以上がフランチャイズ(FC)店だ。かつては駅前や郊外のロードサイドが中心だったが、近年はショッピングセンターへ積極的に出店している。現在は後者が主戦場で、女子高生や家族連れをメインターゲットとしている。

サーティワンは豊富な種類のアイスクリームを武器に顧客からの支持を獲得し、成長を果たしてきた。この20年に関していえば、11年12月期までは売上高を順調に伸ばすことができていた。

しかし、それから13年12月期までは200億円程度で横ばいが続き、伸び悩み始める。14年12月期と15年12月期は、180億円台にまで落ち込んでしまった。それ以降はやや持ち直したものの、近年は200億円前後で停滞している。低迷状態から脱することができていないのだ。

サーティワンが伸び悩むようになった2010年以降は、全国のコンビニの店舗数が大きく伸びた時期だ。最大手のセブン-イレブン・ジャパンは出店攻勢をかけ、年に1000店以上増やしている。アイスクリーム市場の規模も同時並行的に大きく伸びていった。このこととサーティワンの伸び悩みは、無縁ではないだろう。急成長したコンビニがサーティワンから顧客を奪ったのではないかと考えられる。

コンビニにない味と体験の提供が肝になる

「“ミニオン”メッチャフルーツ」プレスリリースより

コンビニアイスに対抗し、業績を上向かせるには、商品と店舗の魅力を高めることが欠かせない。もちろんサーティワンは手をこまぬいていたわけではない。

2019年1月からは、映画『怪盗グルー』シリーズで人気のキャラクター「ミニオン」をモチーフとした6つの果物の味わいを楽しめる「“ミニオン”メッチャフルーツ」など新しい味のアイスを毎月のように投入した。

さらに大人の女性やカップルなど、従来の家族連れとは異なる層をターゲットにした新しいデザインの店舗を増やしたり、キャンペーンやお勧め商品を動画で発信するデジタルサイネージの店頭への導入を進めたりと対策を講じている。

だが、業績を見る限り、これらの施策では不十分ということだろう。サーティワンはコンビニにはない味や体験を提供し、魅力をさらに高めていくことが求められている。その実現に向けて、いま正念場を迎えているといえる。

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