デモ隊の暴徒化が進めば、中国政府の思うつぼ
香港政府の背後にいる中国政府、習近平(シー・チンピン)政権は、学生たちの抗議活動がエスカレートして、暴力行為を次々と繰り返すような事態を期待しているはずだ。このままデモ隊の暴徒化が進めば、中国政府の思うつぼである。
沙鴎一歩は香港の民主化を求める市民や学生たちの抗議活動を支援したい。デモ隊を応援する。それゆえに暴力行為はやめてほしい。香港の民主化が習政権に抑え込まれてはならない。国際世論の支持を得るには無血デモを続けるしかない。
暴力事件が続けば、香港政府の警察権力はデモ隊に介入しやすくなる。さらに大きな騒動に発展すれば、中国政府が本土から軍隊を出動させて鎮圧することもできる。習政権にとって厄介なのは、国際社会や国際世論なのだ。デモが過激になれば、警察権力の介入だけでなく、中国軍の出動についても、国際社会は黙認するしかなくなる。習氏はそう判断しているはずだ。
習近平氏が恐れるのは「一国二制度」の骨抜きだ
犯罪容疑者を香港から中国本土に引き渡すことを可能にするのが、逃亡犯条例の改正案である。中国政府に反発する思想犯を取り締まるのが大きな狙いだ。
香港は「一国二制度」で統治されている。欧米流の資本主義で経済を発展させ、中国独自の共産主義で政治を動かす一国二制度の下では、自由主義を抑え込む必要がある。条例を改正できなければ、一国二制度自体が骨抜きになってしまう。中国の習国家主席はこれを恐れている。中国は台湾も同じ一国二制度で統治しようとたくらんでいるからなおさら、一国二制度を重んじている。