大学ランキング上位でなくても優秀な教授がたくさんいる

大学側も、これまで以上に充実した情報を提供していく。そうしてみなが「先生」によって志望大学を選び、あるいは勧めることができるようになったなら、大学ランキングはその“存在意義”を希薄化させていくことになるだろう。

なぜなら、既存の大学ランキングで上位にこない大学にも、精力的に活躍する研究者はたくさんいるからだ。

文学や哲学に興味を持つ人間である僕からしたら、早慶やMARCHと同等に魅力を感じる大学はいくらでもある。僕は早稲田大学出身だが、いま、僕が受験生ならどの大学を志望するか、かなり迷うだろう。

例えば、「日東駒専」にはとてつもなく魅力的な教授、講師がそろっている。僕の私的な意見なので、あくまで参考程度にしてもらいたいが、たとえば日本大学の文理学部には、『国語教育の危機——大学入学共通テストと新学習指導要領』(ちくま新書)などで教育改革への積極的な提言を試みる、日本近代文学研究者である紅野謙介教授がいる。あるいは『ウィトゲンシュタイン入門』(ちくま新書)で難解極まりないウィトゲンシュタインをギリギリまでわかりやすく説いた哲学者の永井均教授もいる。

小林 恭二『カブキの日』(新潮社)

専修大学の文学部では、『カブキの日』(新潮社)などの小説作品もある、作家・俳人の小林恭二教授がプロの作家育成を目的としたゼミを担当している。また、哲学やポストモダニズムの研究者であるとともに、著書『現代思想史入門』(筑摩書房)が各方面から絶賛された船木亨教授も哲学科で教鞭をとっている。

ミシェル・フーコーやアルチュセールの研究者であり、政治思想をめぐる著書や訳書も出版している山家歩先生も、講師として専修大学で講座を持っている。

「準MARCH」の大学群では、明治学院大学社会学部に、『〈群島〉の歴史社会学』(弘文堂)、『硫黄島』(中公新書)など著作や日本史における南洋群島への視座の重要性を訴える石原俊教授がおり、成蹊大学法学部には、「法学部編」という形式で出版され話題を集めた『教養としての政治学入門』(ちくま新書)を著した高安健将、野口雅弘、西山隆行、板橋拓己らの教授陣が控えている。

また、「ハーフ」をめぐる言説研究で活躍し、著書『「混血」と「日本人」 ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』(青土社)で注目を集めた新進気鋭の社会学者、下地ローレンス吉孝先生は、上智大学のほか、国士舘大学文学部や開智国際大学国際教養学部でも講師をしている。