人目に触れない「官報」から見えた経営の実態

しかし、非上場企業にとっては、できる限り自社の台所事情(決算書)を大っぴらにしたくない、という気持ちがあるのだろう。業績が悪ければ世間のイメージ・印象が悪くなるだろうし、逆に業績が良すぎれば、ねたまれたり、従業員からもっと給料を出せと文句を言われたりする恐れがあるからだ。

「電子公告」の場合、インターネット環境さえあれば、誰でも手軽に決算書を見ることができてしまう。「官報」の販売店は各都道府県に1カ所程度しかなく、一般の人の目に触れられることは極めて少ない。「日刊新聞」は、一般大衆へのさらされ度合いとしては「電子公告」と「官報」の中間に位置付けられる。

つまり、できるだけひっそりと決算公告を載せるには、「官報」が最適なのである(図表1)。

SHOWROOMも「官報」に決算公告を掲載している。ということで、普段、人目に触れられることが少ない「官報」を基に、SHOWROOMの決算状況や将来性を徹底的に分析してみたい。

4期連続で赤字

まず、SHOWROOMの業績の推移から確認しよう。

資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社(いわゆる大会社)は、貸借対照表と損益計算書を決算公告で掲載する義務があるが、それ以外の会社は貸借対照表と損益計算書の一部である当期純利益しか開示義務がない。

SHOWROOMは大会社ではないため、業績を見ようにも当期純利益しかわからない。売上高や営業利益は非開示だ。

しかし、当期純利益だけでも危険な兆候が見て取れる。設立以来、4期連続で最終赤字が続いており、しかも赤字の幅が拡大している。第3期では当期純損失が1.5倍に増加し、第4期にはさらに2倍以上の当期純損失となっている(図表2)。

単一事業なので、SHOWROOM以外の事業で会社全体の足を引っ張っているわけではない。純粋にSHOWROOMが軌道に乗っていないのだ。

アプリ自体は人気なので、ユーザー数は増えているのかもしれないが、開発費や広告宣伝費が多額にかさんでいるのだろう。いまだ損益分岐点を超えられない状況だ。