スマホのことは忘れて時間からも解放される場所
日本独自の文化として、この水風呂とサウナを繰り返して到達する感覚を「ととのう」と表現することがある。マルクスさんはこの言葉に、日本にサウナ文化が普及したヒントがあると分析する。
「フィンランドには『ととのう』のように直接的に表現する言葉がないのですが、これは私たちがサウナで体験する深いリラックスと同じ状態を指していると感じます。この共通点から考えるに、私たちにはきっと自然の豊かな国に生まれた者同士、よく似たところがあるのでしょう。これが日本でフィンランドの文化であるサウナが普及した理由なのかもしれません」
フィンランド大使館内には大使の来客用と職員用のサウナが二つある。この春には敷地を一般開放し、職員用のサウナで熱した石に水をかける「ロウリュ体験」を行った。また抽選に当たった男女合計20名は、来客用サウナに実際に入る体験をした。「サウナは人と人をつなぐ場所」(マルクスさん)として、引き続きサウナ文化の普及・発展に努めていくという。
「サウナは深いリラックスを得るには最適な場所であり、だからこそ、そこで生まれる人の縁も価値あるものになります。そこで日本のみなさんにおすすめしたいのが、スマホなどのデバイスのことはいったん、忘れてしまうこと。ルールや時間といった社会のしがらみから解放されるような、静かで落ち着いたサウナを見つけてください。そこでロウリュが体験できると、なおいいですね(笑)」