アベノミクスは富める者だけを富ませた

「安倍首相は記者会見し『令和の国づくりを進めていく』と強調した。自民党総裁の任期は残り2年余りだ。惰性に陥ることなく、政策で成果を出す必要がある」

「日本丸」の舵をとって大波を乗り越えていくのが、首相の役目である。政策で成果を上げるのは当然だ。安倍首相の強調する「令和の国づくり」とは、具体的に何を指すのか。聞こえのよい言葉だけが先走るようでは情けない。

読売社説は内政の舵とりをこう主張する。

「大切なのは、公約で掲げた『強い経済』を実感できる形にすることだ。景気は回復しているが、家計が潤い、消費が伸びる経済の好循環は生まれていない」

街中の大衆酒場は客の少なさに悲鳴を上げている。沙鴎一歩には強い経済などほど遠いと感じられる。アベノミクスは富める者だけを富ませた。いつになったら、富まざる人々が裕福になるのだろうか。その兆しはみえない。

憲法を改正すると、日本の国はどれだけ良くなるのか

さらに読売社説は「消費税率の引き上げで、社会保障の安定財源を確保し、将来不安を払拭することも肝要である」と指摘する。だが、消費税を引き上げれば、生活苦にあえぐ人々をさらに苦しめることになる。軽減税率など一時しのぎに過ぎない。読売社説は私たち国民に背を向け、安倍政権を後押ししようとしている。

読売社説は後半で「参院選で、与党と、日本維新の会などの改憲勢力は、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席を維持できなかった」と憲法改正の議論について書く。

「首相は憲法に関し、『議論は行うべきだというのが国民の審判だ』と語り、野党に建設的な議論を呼びかけた。改正のスケジュールにはこだわらない考えを示した。与野党は衆参両院の憲法審査会を早期に再開すべきである」

読売社説は憲法改正の議論が進まないことに異を唱え、苛立つ。

安倍首相は参院選の結果を「国民からの力強い信任を得た」と強調し、秋の臨時国会で憲法改正論議を求めていく考えを示している。しかし、憲法9条への自衛隊の明記など、自民党の改憲案のように憲法を改正すると、日本の国はどれだけ良くなるのだろうか。