海賊版は激減しつつある

ホビーメーカーが中国に関連会社を設立する利点は多い。ひとつは現地の市場状況がダイレクトにわかるようになることだ。中国のホビーユーザーが好むサイズ感や細部のアレンジは日本のそれと異なるため、現地のスタッフが現地で仕事をする意義は大きい。

さらに、間に中国の代理店を挟んでの販売ではなくなるため、金銭面でのやりとりも楽になる。というのも、中国から海外への送金に関しては中国政府が厳しく管理しており、日本のホビーメーカーが直接中国で商売をしようとするとかなりの手間がかかる。現地に子会社を設立すれば、ビジネス上の制約を小さくすることができるのだ。

同時に、ホビー業界においては、現地法人の設立は海賊版対策という点でも有効だ。これまで日本の玩具・フィギュアは多数の海賊版に悩まされてきたが、現地に関連会社があればそれらの調査もより簡単になり、現地法にのっとった訴訟をすることも可能になる。

実際、今や中国国内の海賊版は激減しつつある。場所によってはグレーな商品も目にするものの、現地のホビーショップでは見かけない。バンダイなどはメーカーの直営店もオープンしており、中国のホビー市場は急速にクリーンになってきている。

ワンフェス上海で発表された新商品

さらに日本メーカーの動きを象徴するような取り組みとして、国内大手ホビーメーカーのマックスファクトリーとゲームメーカーのアークライトがワンフェス上海で発表した「ドラゴンギアス」という商品がある。プラモデルのように組み立てるコマとゲームボード、カードなどを使って2人以上のプレーヤーが戦うミニチュアゲームだ。

展示されたミニチュアゲーム「ドラゴンギアス」

マックスファクトリーは、イギリスの大手ミニチュアゲームメーカー・ゲームズワークショップと提携。ゲームズワークショップの看板アイテムである「ウォーハンマー」シリーズの製品をかねてより日本国内でも販売してきた。

今回のドラゴンギアスはそれをさらに一歩推し進め、マックスファクトリーがこれまでに蓄積したプラモデル製造技術と、日本人で固めたスタッフによって世界的なミニチュアゲーム市場に打って出ることとなった。