現代社会はまさに符号理論に支えられている
では、自著の『世界は足し算でできている 古代ギリシャからコンピューターまで』のISBNで、チェックディジットの決め方を見ていくことにしよう。
図のように、まず12ケタの番号の左端から奇数番目のケタを1倍、偶数番目のケタを3倍したものの和を計算する。次にその「136」を10で割った余りを求める。最後に、10からその余りの「6」を引いた値である「4」がチェックディジットになる。このようにチェックディジットを決めているので、13ケタから算出される総和が「136+4=140」と10で割り切れるようになるのだ。
世の中にはISBNのほかに、クレジットカードやバーコードなど多くの番号コードがあるが、いずれも間違いや犯罪などの防止、リスクの回避が必要になる。そこで登場したのが「符号化」だ。情報を符号(コード)に変換し、さまざまなアルゴリズムを用いて符号を計算することで、元の番号の信頼性を高めているのだ。
これは「符号理論」と呼ばれ、その正体は数学だ。膨大なコンピューターのデータなどにも符号理論は使われている。現代社会はまさに符号理論に支えられているといえる。
サイエンスナビゲーター
1968年生まれ。東京工業大学理学部数学科卒業、同大学大学院博士課程中退。2000年、日本で初めてのサイエンスナビゲーターとして活動を開始。『面白くて眠れなくなる数学』など著書多数。