2019プロ野球各チームの監督通信簿の結果

残る9人の監督は、選手とは一定の距離を置き、ベンチでもなるべく喜怒哀楽を抑えるオーソドックスな指揮官タイプといえる。ただし、それぞれモチベーターになろうとする努力は感じられる。

たとえば巨人の原辰徳監督だ。6月20日のオリックス戦を4-2で制したが、この試合で原監督は意外な姿を見せた。この試合でヒーローになったのは全4打点をたたき出した丸佳浩。今季、広島から移籍加入した丸がホームランを打つとベンチの選手は両手で丸をつくる新たな祝福ポーズで迎えているが、原監督のトレードマークはグータッチだ。しかし、この試合では満面の笑みを浮かべ初めて丸ポーズをした。ベンチの一体感に加わろうとしたのだろう。

また、西武・辻発彦監督は昨年、ムードメーカーでもある強打者・山川穂高を開幕から4番で起用するなど攻撃的な打線でチームに勢いをつけリーグ優勝した。伸び伸びとプレーさせるという采配が選手のモチベーションを高めることにつながったといえる。このスタイルは今季も継続し、現在3位と好位置につけている。

順位でいえばパ・リーグの首位に立つソフトバンクの工藤公康監督の手腕も高く評価しなければならないが、ソフトバンクの場合、投打とも戦力が充実しており、かなりのアドバンテージがあることも確か。ただ、その戦力を使いこなし、順当に勝ち星を重ねていることは評価すべきだろう。広島の緒方孝市監督も同様だ。

ということでセ・リーグ首位の原監督、2位の緒方監督、パ・リーグ首位の工藤監督、3位の辻監督も7点の評価だ。

「最低点」の監督は誰か?

セ・リーグ3位のDeNA・ラミレス監督、5位の中日・与田剛監督、6位のヤクルト・小川淳司監督、パ・リーグ5位のロッテ・井口資仁監督、6位のオリックス・西村徳文監督は順位から見ると評価はできない。点数的には5点から6点といったところだろう。

ただ、この位置にいるのは故障者を含めた戦力の問題やその時々のチーム状態といった要素もある。セ・リーグ最下位のヤクルトは開幕当初は首位争いをしており、小川監督の采配は評価されていたのだが、突然チームの歯車が狂い出し、リーグワースト記録となる16連敗を喫してしまった。

下位に沈む5チームの監督は、これまでの戦いを見る限り采配ミスを連発しているわけではないし、チームがバラバラになっていることもなさそうだ。今後、勢いに乗って連勝し上位争いに加わる可能性もあるわけで、総合評価はやはり秋までの戦いを見るまで下せない。

(写真=スポーツニッポン新聞社/時事通信フォト)
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