日本ハムの栗山英樹監督もやる気引き出すモチベータータイプ

モチベーターといえば、もう一人思い浮かぶ監督がいる。

日本ハムの栗山英樹監督だ。2012年の監督就任以来7年間でリーグ優勝2回(日本一1回)の実績は対話を重視し、選手のやる気を引き出してきたからだといわれる。また、現在メジャーで活躍する大谷翔平をはじめ新人の才能を伸ばし育てる手腕にもそれが表れている。今季は吉田輝星がその指導によって羽ばたこうとしているが、野球の新たな流れにチャレンジしていることに注目したい。

近年メジャーで取り入れられるようになった2つの新たな方法論を采配に導入しているのだ。ひとつはオープナー。リリーフ投手を先発させて1・2回を抑え、それ以降の回を本来の先発投手などが継投するという「オープナー」という起用法だ。

日本ハムも多くの試合は先発ローテーションに従った投手起用をしているが、先発陣が手薄な時はオープナーを採用。序盤を抑え、流れをつかもうという考え方だ。野球のルール上、オープナーで先発した投手は相手を少失点に抑え、試合を優勢に運ぶ役割をしても勝ち投手になる権利がない。それでも、球団もそれに対する査定を新規に採用し、その起用を後押ししている。

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「2番に強打者」起用法を定着させた

栗山監督の光る采配はもうひとつある。2番打者に強打者を置く起用法だ。日本で2番といえば送りバントをはじめとする小技が得意な選手の打順だが、米メジャーリーグでは近年、パワーヒッターを置く考え方が主流になっている。

今季の日本ハムは開幕2試合目までは器用な西川遥輝が2番だったが、それ以降はほぼ長距離砲の大田泰示が務めている。大田は今のところ犠牲バントはゼロで自由に打っている。栗山監督は序盤から2塁にランナーを送って1点を取りに行く日本的戦法ではなく、大量点を狙うメジャー型の戦い方を指向しているのだ。つまり新たな可能性を模索し、実験をしているというわけだ。

そうした従来の日本野球にはなかった思い切った戦法を採りながら順位は現在、首位ソフトバンクと6ゲーム差の4位。まだ十分に挽回できるこの位置にいるのは立派といえるのではないだろうか。それに新たなスタイルの野球が成功するかどうかは観戦する側としても興味深い。そのチャレンジ精神を含めて7点と評価した。