LIXILグループの株主総会で、会社側が事を有利に運ぼうとしている最も大きなポイントは次のところだろう。

もともと瀬戸氏サイドは、鬼丸かおる氏、鈴木輝夫氏、西浦裕二氏、濱口大輔氏、伊奈啓一郎氏、川本隆一氏、吉田聡氏、瀬戸氏の8人を取締役候補として提案した。

その後、会社側は内堀民雄氏、河原春郎氏、竹内洋氏、福原賢一氏、三浦善司氏、大坪一彦氏の6人と、株主提案の候補として名乗りを上げた鬼丸氏と鈴木氏の合計8人を提案。その後、松崎正年氏、キャンベル氏の2人を加えている。つまり株主提案の2人の取締役候補者を株主提案とし、合計10人を選ぶよう求めた。

株主提案候補も自陣に入れる策略

その後、鬼丸氏と鈴木氏は「我々は株主提案の候補者であり、会社提案の候補にはして欲しくない」という声明を出したが、招集通知には「会社提案の候補者でもある」と記載され、注記として小さく「2名からは2019年5月28日時点において、会社提案の取締役候補としての就任について承諾を得ておりません」と書かれている。

会社法上、当事者が拒否しても、会社側の候補として提案することは可能だから、こうしたことが起きるのだ。

株主総会の主催者である会社側が事を有利に運ぼうとするのは当然かもしれない。そうした実態を、コーポレートガバナンスコードやスチュワードシップコードに従うことが求められている機関投資家は公平に見ている。しかし個人投資家は情報量が圧倒的に少ないため、会社側の「情報操作」に乗ってしまいがちだ。

これまで潮田氏は、たった3%の株式しか持たないのに、創業家出身としてLIXILグループで強い影響力を行使してきた。会社側の取締役候補は「潮田氏の影響は受けていない」と主張するが、「何がなんでも瀬戸氏のCEO復帰は阻止したい」という潮田氏の意向を色濃く反映している会社提案が、果たして否決されるかどうか。会社側の「情報操作」の結果は、6月25日の株主総会で示されることになる。

(写真=時事通信フォト)
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