「そばは太りにくい」と言われる理由

ちなみに、ブドウ糖がからだに吸収されるスピードをGI値(グリセミックインデックス)であらわすことができます。GI値の数値が高いほど吸収のスピードが速いということで、血糖値を上げやすいのです。

GI値が高いものは、砂糖や三温糖などです。うどんよりはそばの方が太りにくいというのを聞いたことがあるかもしれませんが、これはGI値がうどんの方が高いためです。白米よりは雑穀米の方がGI値は低いなど、似たような食材でもちょっとした違いでGI値がかわります。

体脂肪を落としながら筋肉をつけたい場合は、このGI値も考慮した食事をすることが大切です。

「主食をとらないこと=糖質制限」ではない

「筋肉をつけたい、でも体脂肪は落としたい」と、糖質制限をおこなっている場合があります。それは前述したように効率が悪い食事法です。ただし先ほど鶏肉の照り焼きで調味料からも糖質がとれている話をしましたが、実際に糖質制限をしている人にカウンセリングすると、主食をとらないこと=糖質制限だと思っていたりします。

川端理香『筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術』(朝日新聞出版)

トップアスリートの中にも、果物に糖質が多く含まれることを知らない人がいます。果物はビタミンしか含まれないと思っていたりするのです。口当たりが甘いにんじんやかぼちゃ、とうもろこし、さつまいもは糖質が多いのはわかると思いますが、実はトマトやたまねぎにも糖質は含まれます。

このように糖質制限をしているといっても食事内容を詳しくみると、意外に糖質をしっかりとっていたりもします。まずは自分が本当に糖質をとっているのかいないのかどうか、食事を振り返ってみましょう。

また、この糖質など食事からのエネルギーが不足すると、筋肉を燃やしてエネルギーにすることがあります。筋肉をつけたいと糖質制限をしてトレーニングをすると体重が落ちますが、そのときに注意したいのは、体脂肪ではなく筋肉がエネルギーとなって燃えたことが理由で、体重が落ちていないかどうかです。

筋肉をつけたい場合、糖質は全く避けるのではなく、筋肉が燃えない程度は最低限とる必要はあるのです。

川端理香(かわばた・りか)
管理栄養士
昭和女子大学非常勤講師。2004年アテネオリンピック「VICTORY PROJECT」チーフ管理栄養士、08年北京オリンピック委員会強化スタッフ。JリーグやVリーグ、プロ野球、プロゴルフ、ラグビーなど多くのトップアスリートをサポート。著書多数。一般を対象にした講演などの食育活動や執筆、レシピ開発、企業の栄養アドバイザーも務める。
(写真=iStock.com)
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