※本稿は、川端理香『筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
炭水化物ダイエットと糖質制限の根本的な違い
みなさんは炭水化物と糖質の違い、炭水化物ダイエットと糖質制限の違いがわかりますか?
それぞれの言葉は同じように使われていますが、この2つ、実は意味が違います。炭水化物とは、糖質と食物繊維のことなのです。人が消化吸収できるのが糖質、できないのが食物繊維です。そのため吸収できる糖質は1グラム4キロカロリーですが、食物繊維はエネルギーがほぼ0キロカロリーです。食物繊維については吸収されないから必要ないのではなく、むしろトレーニング時には多く必要になります。
ちなみに、食品の栄養素がどのくらい含まれているか示した食品成分表では、糖質の記載がありません。しかし、炭水化物と食物繊維の表示はあるので、炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質量なのです。
エネルギーになるのは糖質だけではなく、脂質とたんぱく質もエネルギーになります。糖質は、単糖類、二糖類、少糖類、多糖類に分けられます。この種類によって摂取したときに血糖値を上げやすいものと、そうでないものに分かれます。
効率よく筋肉をつけるためには「米」も必要
血糖値を上げやすいブドウ糖や砂糖などの単糖や二単糖は避けて、ゆっくりと血糖値を上げる米などのでんぷん(多糖類)としてとることで、血糖値の急激な上昇と下降をおこす血糖値スパイクを予防できます。血糖値スパイクは血管を傷つけ動脈硬化などのリスクを高めるため、健康のためには避けたいのです。
効率よく筋肉をつけるためには、糖質をとることで分泌されるインシュリンが原因となって、筋肉の合成が進みやすくなることがわかっています。ですから、食事では血糖値スパイクをおこさないようにするなど、糖質はタイミングを考慮しましょう。
マラソンやサッカーなど長い時間試合をおこなう競技の場合、グリコーゲンローディングという食事方法をとりいれます。これは食事を糖質中心にすることで、からだにグリコーゲン(糖質)をため込み、スタミナをアップさせる食事方法です。
食事の糖質はグルコースとなって吸収されて、血液を通して肝臓と筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。つまり、肝臓と筋肉がグリコーゲンの貯金箱のようになっていて、エネルギーをためておくことができるのです。