それがまだであれば、あまり遅くなると、増税に向けた準備が進んでしまいやめられなくなります。増税見送りの表明は、改元して19年5月の連休が終わってからになるか、19年5月20日のGDP速報で悪い数字が出て、それがダメ押しのようになって表明するか、このあたりはわかりません。ただ、参院選の公約は19年6月上旬までにまとめる必要があるので、おそらく19年5月いっぱいくらいが見送り表明のデッドラインだと思います。いずれにせよ、19年6月28日から大阪で開かれるG20のころには、目鼻がついているでしょう。
安倍首相は、16年5月の伊勢志摩サミットでも、原油などのコモディティ価格の下落を挙げて「リーマンショック級の危機」と指摘し、17年4月に予定されていた消費税増税を見送っています。しかし、コモディティ価格下落の影響を受けやすいのは、先進国ではなく発展途上国。本当はその程度では「リーマンショック級」とは言い難いのです。コモディティ価格下落を理由に増税を見送るくらいなら、今のほうがもっと「リーマンショック級」に近いはず。国内景気、ブレグジット、中国経済が絡み合えば、消費税増税どころではなくなるでしょう。
「日本は1000兆円の借金を抱えていて財政が破たんするから、消費税を上げる必要がある」と言われます。しかし、確かに借金は多いですが資産も多いので、日本の財政状況は健全です。また「少子高齢化で社会保障の財源が足りないから、消費税増税をするしかない」と言う議論もウソ。そもそも日本の財政は悪化していないし、社会保障費も大丈夫なのだから、消費税を上げる必要などありません。「消費税増税をしないと、児童手当が出せない」とか、「幼児教育・保育の無償化ができない」と言う人もいるようですが、財政が大丈夫なのですから、消費税増税をやめてもそれは可能です。
つまり消費税増税は、経済が停滞するだけで、1つもいいことがない政策。本当は、消費税増税なんてしようとする政治家は、選挙で落とすのが一番いいと思います。
時限措置は景気の冷え込みの先延ばし
「消費税増税をすると全治3年」です。当たり前ですが、税金が増えれば可処分所得が減ります。その影響は3年ほど続くため、景気は大きく冷え込んでしまうのです。
過去の消費税増税も全治3年でした。3%から5%に上がった1997年も、5%から8%に上がった14年も、その後3年間景気が停滞したのです。唯一の例外が89年の消費税創設です。あのときは物品税をなくして消費税を導入したので、税金の名前が変わっただけで、実質的には増税ではなかったからです。