日・英・中の爆弾で、増税は見送りか
安倍晋三首相は、2019年10月に予定されている消費税増税について、18年11月に、「リーマンショック級の出来事がない限り、10%にしたい」と述べています。その「リーマンショック級の出来事」ですが、私は起きる可能性が高いとみています。
まず国内の景気が危うい。政府はずっと景気拡大していると言っていますが、まったく理解不能。それは景気動向指数を見れば一目瞭然です。
景気動向指数の推移を見ると、直近のピークは2017年12月ごろ。マスコミは、18年10月から下がっていると言っていますが、実際はもっと前から落ち始めていたと言えます。そして18年1年間は、上がったり下がったりしながら全体のトレンドとしては下落していて、19年3月7日に内閣府が発表した1月の景気動向指数は3カ月連続でマイナスとなり、下落がさらに顕著になっています。
データは正直です。こんなときに消費税増税なんてやったら、みんな財布の紐をがっちり結んでしまうでしょう。景気は“つるべ落とし”で一気に悪化することが簡単に予想できます。
そして海外に目を向けると、イギリスのEU離脱(ブレグジット)と中国経済の失速があります。どちらも顕在化すればリーマンショック級になります。
国内景気、ブレグジット、中国経済。この3つのうちのどれかが、近々弾けるでしょう。そうなれば、19年7月の参院選を前に、安倍首相も「消費税増税します」とは言いにくくなるはずです。
では、増税見送りを表明するタイミングはいつか? 19年3月中は20年度予算を成立させることで精いっぱいだったし、予算案の中に消費税が盛り込まれていたので動けませんでした。しかし、予算が成立した後の今は違います。ブレグジットや中国の状況が急に悪化するなど、世界情勢や景気動向の状況によっては、この記事の掲載号が発売される19年4月22日までに、すでに消費税見送りを表明している可能性はありえます。