「自覚症状」に謙虚になるべし
この歳になるまで、私は実にいろいろな患者さんを診てきました。しかし、つくづく思うのは、私は患者さんの訴えを頭でわかっていただけということです。医者は実は、病気に関して本当にはなにも知らない。そう痛感するようになりました。
そのため、年配の方に私が言いたいのは、歳を取ったら、自分の体が発するサインに謙虚になること。そして、できるなら同じような体験をしている年輩の医者にかかることです。そういう医者のほうが、その症状のサインをわかってくれるということです。若い医者なら、症状を細かく真剣に聞いてくれる医者を選ぶべきでしょう。
歳を取るにつれて、若いときにはなかった変調が体に表れます。そのとき、私たちは初めていつまでも健康のままではいられないことに気づくのです。検査が充実したとはいえ、自覚症状がその病気の本当の姿を表しているのです。
東京慈恵会医科大卒。開業医、病院経営、早稲田大講師、日本女子体育大助教授などを経て、医療コンサルタントに。新日本プロレス・リングドクター。著書に『不要なクスリ 無用な手術』など66冊。