私が医学生のときに習ったのは、心筋梗塞などを起こすと「胸痛、圧迫感、左肩痛、奥歯の痛み」という症状が出るということでしたが、このときの私は、まさにこれに当てはまっていたのです。結局、病気というのは自分でなってみて初めてわかるものだと、このとき痛感しました。

以来、私は、降圧剤の「ブロプレス」、「テノーミン」、「アムロジン」(Ca拮抗薬)、血液をサラサラにする「プラビックス」を服用し続けています。また、枕元には血圧計を置いて、いつでも測れるようにしてきました。

南淵医師は、「ステントを入れても、何年かすればまた必ず動脈が詰まることがありますから、結局、バイパスが必要ですよ」と言いました。そのときはそんなものかと思ったのですが、これもまた本当でした。

ステント挿入の手術を受けてから8年後、2012年12月22日の朝方、私は再び胸痛に襲われたのです。このときは背中にも痛みが出ました。それで再び南淵医師に連絡し、検査を受けると、冠動脈の根元のほうが95%も詰まっていました。このときは開胸して動脈バイパス手術を受け、事なきを得ました。約2週間入院して、お正月を病院のベッドで過ごしました。

糖尿病も身をもって体験

糖尿病に関しても同じです。私が初めて糖尿病の気があると診断されたのは、2005年のこと。血糖値を検査したところ、HbA1c(血中のヘモグロビンのうち、糖化しているものがどれぐらい存在するかの割合)が7.2と、当時の基準値(6.2%未満が優、6.2~6.9%が良)を超えていたため、以来、血糖値を下げるために、「グリミクロン」(SU剤)を朝夕1錠、「エクア」を朝夕2錠、「メトグルコ」を毎食後3~6錠、飲むようになりました。食生活も変え、炭水化物を摂りすぎないようにするため、夕食にはご飯も控えるようにしました。

クスリを飲み始めて2~3カ月して血糖値は下がりました。しかし、服用を止めると上がるので、以来、クスリと血糖値の測定は欠かせなくなりました。糖尿病というのは、いわゆる一般的な病気ではなく、いったんなると治りません。生活習慣病というのはみなそうです。つまり、病気というより老化現象と言ったほうがいいでしょう。