「昨日の自分」よりうまくなればOK

さらに、海外の動画も活用している。わからないものはいくら聞いてもわかるようにはならないので、英語の字幕があるドラマや映画を見ることが重要だ。「Netflixは、字幕があるものが多いのでお薦め」だという。名司会者として知られるデヴィッド・レターマンのインタビューも、「好きなオバマ前大統領の回などを見ながら書き出して、それを『もし自分がインタビューされたらこう返そう』といったことを考えながら音読します」。

「英語おもてなしコンテスト」への参加を決めたのは「僕をまた成長させてくれるという確信があったから」(中山さん)。

小説は、好きな小説の日本語版と英訳版を読み比べると「とても英語のレベルが上がると思います。僕は村上春樹が好きなので、よく読み比べます」と話す。

ほかにも、ツイッター(※)やブログを日英両方で書いたりと「思いつくありとあらゆることを、継続するつもりもなくやっています。時間もそんなにかけません。隙間時間にちょっと本を読んだり、通勤電車の中でおさらいをしたり、そんな程度です」。

続けるコツは「ストイックにならないこと」

中山さんに、英語の学習を続けるためのコツについて聞いたところ、2つ挙げてくれた。1つ目は「ストイックにならないこと」だ。「学習を継続するためのメンタルコントロールはとても大事。ですから僕は、徹底的に自分を甘やかすんです。英語を勉強している人の多くはとてもストイックで、目標を高く掲げがち。周りの人と比べて、『まだ足りない』と自分を責めてしまうし、1日サボったくらいでも落ち込んでしまう。もっと気楽に『昨日の自分よりうまくなっていればOK』というくらいの心構えでないと、続きません」と言い切る。

2つ目は、「イベントを設定すること」。18年10月の、「タクシー運転者『英語おもてなしコンテスト』」への出場もその一環だ。「コンテストに出場するとなれば一生懸命準備するし、そうした準備は、たとえコンテスト当日に活かすことができなかったとしても、自分のためになります」。

また、SNSなどを通じて世界中にできた友達が日本に来るときには、ガイド役を務めることも多いが、「これも、どこに行こうか、どんな説明をしようかと調べるので勉強になります。こうしたイベントの積み重ねが、英語力につながります」と話す。

「英語がまったく話せない」という状態から、4年間でイギリスのビジネス誌の英語インタビューを受けられるほどになった中山さんだが、「2年あれば、スピーキングはできるようになると思います」と語る。「リスニング、リーディング、ライティングは語彙が必要なので、地道な努力が必要ですが、スピーキングはそれほど語彙がいりませんから」

(※)中山哲成さんはツイッターで学習法など英語に関する情報を発信している。ツイッターアカウント@tetsunakayama

▼圧倒的に実力アップ! 語学学習コミュニティ
「italki(アイトーキー)」
世界中の言語学習者とつながることのできるプラットフォームである「italki(アイトーキー)」。登録者は500万人、先生は1万人以上。自分の目標や興味関心と合った先生を選び、1対1でオンラインレッスンを受講できる。また、「ランゲージ・エクスチェンジ」というシステムでは、お互いの母国語を教え合うランゲージ・パートナーを探して、お互いが学びたい言語を学習することができる。登録は無料、レッスン受講は有料。
▼語彙を増やしたい! お薦めは字幕のある番組の多い
「Netflix」
「HuluもdTVも試しましたが、英語の勉強に関しては、英語の字幕がある映画ドラマが圧倒的に多いNetflixが圧勝」(中山さん)。お薦めはインタビュー番組。「やりとりを全部書き出したうえで、自分が語っているように音読します。『自分ならこう答える』とイメージを広げながら、『どこかで使えたらいいな』くらいの遊び感覚で取り組んでいます」(中山さん)。
▼英語学習経験を伝授!
おもてなし接客英会話テキストブック
横手尚子/NextPublishing Authors Press
元・日本航空CAがタクシー・ハイヤー乗務員に向けて、接客英語と接遇マナーの基本を紹介。3月末発売予定の改訂版では、中山さんが英語学習法に関するコラムを執筆している。
(撮影=石橋素幸)
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