午後の時間が空いたので「ラッキー」と乳がん検診に
また、職場の雰囲気も影響しています。健診の開始時間はみんなだいたい同じですから、帰社が遅いと「どこかで暇つぶししているのでは?」とか、「なんか引っかかったのでは?」とか、あらぬ噂が立ちます。なので、なるべく早く職場へ帰りたかったのです。
そうした雰囲気は、当時の私の職場だけではないと思います。忙しい職場は、どこも同じようなものですよね。健診に費やす時間を仕事の範囲で認める、お互いに声をかけあうなど、健診に行きやすい風土づくりが大切だとつくづく思います。
そんなこともあり、35歳で1度乳がん検診を受けたものの、特に何も指摘されず、翌年は受けませんでした。1年半の間を空けて37歳になりたてのときの健康診断の日、「去年は、乳がん検診受けなかったな」なんて思っていたら、何の偶然か、午後1時から予定されていた重要な会議が中止になったのです。
午後の時間がぽっかり空いたので「これはラッキー」と、はりきって乳がん検診を受けたところ、担当の医師は「若いから、まだ大丈夫でしょう」なんて言いつつ、ニコニコと柔和な笑顔で触診を始めました。
ところが、右側を触ったあとに左側、そしてまた右側を触り、もう一度左側と、何度か行き来するうちに、医師の表情は曇っていきました。心配になって「何かありましたか?」と聞くと、「うーん、しこりがありますね。気づきませんでしたか?」と。先ほどの表情からは一変し、真剣な顔で言われました。
エコーの検査までは「2週間待ち」
そしてもう一度右側を触ったあとで、「今日、時間があればマンモグラフィーを受けてほしい。それから、エコーも予約していって」と突然言われました。この時点で、頭の中は真っ白でした。
エコーの検査予約はいっぱいで、検査で引っかかってから2週間も待たされました。この確定していない状態の辛いこと、辛いこと。夜一人になると、いろいろと考えてしまいます。
「呼吸回数が増えると血液の循環が増え、がん細胞が飛び散るんじゃないか」とか、「仰向けで寝ると、がん細胞が下にまわるんじゃないか」とか、いまとなっては笑い話ですが、当時はそんなことを本気で心配してしまうほど、頭のなかは混乱状態でした。
上司に再検査になったことを告げると、「仕事よりも検査を最優先になさい」と言ってくれたのは本当に助かりましたが、健診で引っかかってからは仕事に集中することができず、地獄でした。
当初は旦那に話すのは「すべてが確定してから」と思っていましたが、1週間でギブアップ。エコーの予約日まで1週間というタイミングで、「がん検診で引っかかって、どうも悪いものがある可能性が高いかも」と伝えました。