70代消費をビジネスチャンスとするための2つのポイント

最後に70代消費をビジネスチャンスとするために重要なポイントを2つ挙げておく。

第1が、前もったアプローチである。山登りやテニスの趣味は若い頃から習熟が必要となるもので、70代男性の余暇消費の多くは、もっと若い時に決まっている。70代だけをフォーカスするとタイミングが遅れてしまう。若い年齢の段階でアプローチすることがとても重要である。

第2が、70代に対する雇用機会の提供である。70代は趣味に使うお金をアルバイトで捻出しようとしている人が多く、企業は70代を積極的に雇用していくことが必要だ。かつて米フォード社は高い賃金を労働者に払い、労働者たちはその金で安価なT型自動車を買ったという。

冒頭に述べたように、70代は子育てや介護などさまざまな制約から、解放された世代である。それだけに企業が70代の雇用を積極化し、彼・彼女たちの財布の中身を豊かにすれば、個人消費の拡大に貢献することは間違いない。

佐野 紳也(さの・しんや)
三菱総合研究所 主席研究部長。1956年、神奈川県生まれ。78年、慶應義塾大学経済学部卒、三菱総合研究所入社。現在、未来構想社会センター 主席研究部長。消費、社会、人口、情報通信等の調査研究、コンサルティングに従事。2010年より日本最大規模の生活者情報データベース「生活者市場予測システム(mif)」の開発・運営を担当。著書に『3万人調査で読み解く日本の生活者市場』(日本経済新聞出版社)などがある。
 

劉瀟瀟(りゅう・しょうしょう)
三菱総合研究所 研究員
中国・北京市生まれ。外交学院(中国外務省の大学)卒業後、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)(中国)に入行。その後、東京大学大学院修士課程に留学し、三菱総合研究所入社。専門は日中の消費市場動向。講演多数、首相官邸観光戦略実行推進会議有識者等。著書に『女性市場攻略法―生活者市場予測が示す広がる消費、縮む消費―』(日本経済新聞出版社)などがある。
(写真=iStock.com)
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