大戸屋の一斉休業は英断だった

くら社は勉強会を開催するなどして、再発防止に努めるとしているが、公表された対策だけで減収を食い止められるかは疑問に思わざるを得ない。もっと大胆な対策が必要だろう。

一連の問題で秀逸な対策を講じたのが大戸屋だ。運営会社の大戸屋ホールディングスは、国内店舗のほぼ全店で3月12日を一斉休業にし、再発防止に向けた従業員教育を実施した。

一斉休業により減収は避けられないが、それをいとわず、自らの管理不行き届きを潔く認めた上で従業員教育を実施したことは、評価に値するだろう。世間でもおおむね好意的に捉えられており、イメージ悪化を最小限に食い止めることができたのではないか。このことを筆者は評価したい。そして同時に、くら寿司こそがこうした取り組みをすべきだったと考えている。

スシローの2月の既存店売上高は4.1%増

くら寿司の不振は、この2月だけの一時的なものではない。既存店売上高は、4カ月連続で前年を下回っている状況だ。通期べースでは、2018年10月期が前期比0.7%増となんとか前年を上回ったものの、17年10月期は1.4%減とマイナスとなっている。

競合と比べると、くら寿司の衰えは鮮明だ。業界最大手「スシロー」の2月の既存店売上高は4.1%増と絶好調で、大きく明暗が分かれた。競合の「かっぱ寿司」は2.0%減だったが、くら寿司の落ち込みに比べればだいぶマシといえる。2月以前もスシローは好調で、2月まで16カ月連続前年超えとなっている。かっぱ寿司は以前こそ前年割れが続き不調だったが、今期の19年3月期は好調で、2月までの半数の月がプラスとなっている。

くら寿司が不調なのは、競合に顧客を奪われているためだ。なぜそんなことが起きているのか。最大の理由は、サイドメニューの競争力の低下だ。

くら寿司は12年のラーメン発売を皮切りに、サイドメニューの強化を図った。13年に天丼とうな丼、14年には豚丼、15年にはカレーライス、16年にはカレーうどんと牛丼を売り出している。最近では、3月からハンバーガーの販売を始めた。