労働の定義が「コミュニティへの貢献」に

一方で、個人と仕事は結合する。仕事とは、個人の天才性を周りの環境へはめ込む作業となる。仕事の定義は労働からコミュニティへの「貢献」へと変わる。相手の感情を知覚する力が尊ばれる。

仕事とその時間は、価値や貢献と比例しなくなる。誰に対して何をどのように提供するかが合致してさえいれば、短時間でも大いに貢献となる。さらに言えば、何もしなくても、存在するだけで貢献している人もいる。人々が自らの所属するコミュニティに対して、仕事を通して貢献することによって、コミュニティは「共同体」から「経済体」へと進化し、外部に対しても価値創造(貢献)をするようになってますます発展する。コミュニティがお金を稼ぎ、新興のコミュニティが新しい独自通貨を発行するだろう。

仮想通貨は「お金とは何なのか?」を問い直した

ここからは具体的にお金・社会・仕事・個人の変化について述べていこう。

まず、お金が今後どのように変わっていくのかを考えていきたい。

2018年は仮想通貨が大きな盛り上がりを見せた。それによって損した人も得した人もいるだろう。だがそんなことは大した問題ではない。ことの本質は、お金のそもそもの定義が問い直されたことである。

多くの人は考えた。「一体お金とは何なのか?」と。これまで円やドルがお金だと思っていたが、仮想通貨という新たなお金の出現によって、お金そのものの概念を考え直そうという機運が高まったことが最も重要な変化である。

そもそもお金とは「外部化された信用」のこと。もともと信用のある母体が発行することで流通可能となった産物である。

人類のお金の歴史を紐解けば、お金のない時代は「記帳」が経済取引の中心だった。記帳とはあげたもの、もらったものをお互いに刻んでおく行為である。やがて富の担保を持つ人や組織や国がその信用を外部化し始めた。具体的には、硬貨や紙幣を発行することによって現代のお金の仕組みが成立した。