仕事内容は正規の教員とほとんど同じで、担任もする

Aさんは離島で2年間勤務した後、地元で引き続き講師をすることになった。島を出てまもなく結婚し、4人の子どもを育てていく。

講師は基本的に、ほぼ1年おきに職場が変わっていく。その過程で、さまざまなデメリットがあることにAさんは気づいた。

仕事内容は正規の教員とほとんど同じで、担任もする。新採用の教員であれば研修が用意されているが、講師には何もない。県教委や現場からは即戦力を求められるが、誰のサポートもなく、いきなり授業を動かさなければならないのだ。

労働時間も正規教員と変わらない。早朝から夜7時くらいまでは学校にいることも多かった。研究校に指定されている場合は、会議などで夜8時、9時まで勤務することも当たり前だった。学期末などは仕事がさらに増えていく。

講師が荒れているクラスの担任をする、というケースもよくある。荒れているクラスを受け持つことを他の教員が拒否して、講師に任せるというのだ。「講師の仕事面での負担は、むしろ正規教員よりも大きい場合がある」というのがAさんの率直な思いだ。

3月末から4月上旬までの空白期間は無職

こうした状況にもかかわらず、待遇面では正規教員と大きな差がある。任期は3月の修了式までで、3月の給料は日割りになる。そのため、3月だけは厚生年金から国民年金に切り替えなければならない。もし3月に亡くなった場合には遺族年金にも大きな差が出てしまう。

同じように健康保険も社会保険をいったん抜けて、国民健康保険に1カ月だけ加入しなければならない。しかし、3月中は保険証が届かず、その期間に病気になった場合は、窓口で10割全額を負担しなければならなかった。

さらに、Aさんが働き始めた当時は4月2日採用で、4月も日割りだった。日割りになった3月と4月は手当もつかず、給料も少ない。日割り計算によってボーナスも満額は出ない。退職金は1年ごとに支給され、その金額は年間12万~13万円ほど。日割りになっている月の生活費に消えてしまう、といった状態だった。

3月末から4月上旬までの空白期間は、無職である。この時期の平日、子どもの行事などに参加すると、保護者から「先生は春休みがあっていいですね」と言われるのが常だという。しかし、実際は無職の状態だったAさんは「みじめな思いで、一人で落ち込んでいた」と話す。