「下着の色は白のみ」「体操着の中に肌着を着てはいけない」。そうした理不尽な“ブラック校則”が、全国の学校に存在している。特に「下着チェック」は、いまだに増加しているという。評論家の荻上チキ氏が立ち上げた「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」には、4カ月で200件の投稿が集まった。どのような指導が横行しているのか。なぜそうした指導がなくならないのか。荻上氏が解説する――。

またたく間に寄せられた「ブラック校則」の体験談

「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」では、具体的な事例を収集するため、投稿フォームを設置した。フォームには、設置4カ月ほどで、200件ほどの投稿が集まった。内容には、具体的な地域名や学校名、投稿者の本名や連絡先が含まれている。

「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」HPより。

フォームに積極的に投稿するということから、理不尽さをより強く感じているという方からの訴えという形になる。そのため、代表的な声とは必ずしも言えない。しかしながら、実体験からの悲痛な叫び声という意味では、決して無視のできないものだ。

寄せられた事例は、黒髪・ストレートのみを是として黒染めや短髪を強要するような頭髪指導、スカートの長さ等を厳密にチェックするような服装指導、健康・経済面で生徒や家庭に損害をあたえるような指導、特定の部活動内のみ適用される「部則」など、多岐にわたる。また、そういった問題のある指導を懸念する教師の側の声も寄せられた。

本稿ではそれらの投稿のうち、2010年代以降に経験したという事例のみに絞ったうえで、最も多く声を寄せられたセクハラ的指導を紹介していきたい。なお、本人の特定を避けるために、文意を損ねないかたちで編集を加えた。

全国的に行われる「下着の色チェック」

今回の調査で、もっとも多くの声が寄せられ、また多くの反響があったのが、「下着チェック」の増加だった。具体的な事例を聞くと、「なぜそんなことを?」と思うような人が少なくないはずだ。しかし同様のケースは、特定地域に偏っているというわけではなく、全国で見られるものだった。このことをはじめ、指導自体がセクハラとなっている事例を取り上げる。