残業が生まれやすい職種の共通点
また、サービス残業時間が多い職種は1位が医療系営業(MR、医療機器など)、続いて講師・インストラクター(学習塾など)、ドライバー、幼稚園教諭・保育士となっていて、ここでも人に直接関わる教育系の仕事にサービス残業が多いことが見てとれます(図表5)。
これらの業種・職種のサービス残業時間は1人あたり月平均10時間を超えていますが、こちらもあくまで「全体平均」です。先ほど同様に、「サービス残業を少しでもする人」に限定すれば数値は跳ね上がり、「教育、学習支援」で24.4時間、「不動産、物品賃貸」で22.3時間にのぼります(図表6)。サービス残業を毎月20時間超というのは、単純計算で1人あたり月に4万円程度、年間48万円以上の残業手当を受け取っていない推計になります(割増込み時間給を2000円に仮置きして推計)。
職種、業種をまたがった大規模調査によって、「どのような職務特性(仕事上の特徴)が残業時間を増やしているのか」も見えてきました。最も残業時間を増やしていたのは「突発的な業務が頻繁に発生する」職務で、こうした特性が一番高い職種は介護福祉士・ヘルパーです。その後には、「仕事の相互依存性(自分の仕事が終わらないと他の人も終わらない性質)が高い」「社外関係者・顧客とのやり取りが多い」といった職務特性が続き、人との関わりが多い職種に残業が生まれやすいことがわかりました。