日本企業にはびこる「残業」。立教大学経営学部の中原淳教授らは約2万人を対象に調査し、業種・職種別に「残業の多い仕事」と「サービス残業の多い仕事」をあぶり出した。ランキングの詳細と考察を講義形式でお伝えしよう――。

※本稿は、中原淳+パーソル総合研究所『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(光文社)の一部を再編集したものです。

1位が運輸、2位が建設、3位が情報通信

Aさん「中原先生、今日の講義もよろしくお願いします。ところで、日本で一番残業の多い業種ってどこなんでしょう?」

Aさん、冒頭から元気の良い質問をありがとうございます。

皆さんいかがでしょうか。各自予想してみてください。残業の多い仕事と聞いて、真っ先に何が思い浮かびますか?

……では図表1をご覧ください。

まず、残業が多い業種は想像通りかもしれないですが、1位が運輸業・郵便業、2位が建設業、3位がIT企業などの情報通信業でした。どこも人手不足が伝えられており、皆さんもニュースでよく目にするでしょう。職種で見ても、1位が配送・物流、2位が専門職種(不動産関連、建築・土木系、金融系など)、3位がIT技術・クリエイティブ職となっていて、業種のランキングとおおよそ重なります。ちなみに、この調査における「残業時間」とは休日出勤も含め「所定労働時間を超えて働いた時間」を指しています。

表内の時間数を見ると意外と少ないように思えるかもしれませんが、この結果は業界の「平均値」です。どの職場にも、「常に残業をしない人」が一定の割合で存在しますよね。例えば時短勤務の人など、何らかの事情で残業できない人です。「残業を少しでもしている人」に限定して集計すると、平均時間は4~5時間程度増加します。ですので、残業が常態化している業界においては、図表2のようになります。