ある中国の大手建設会社の社長は、米国で開催されたプロジェクト・ファイナンスのセミナーで、「中国はインフラ工事を請け負うと、3千人くらいの労働者を連れて行く。労働者の中には囚人もまじっていて、安全管理はなきに等しいので、1回の工事で百人くらい死ぬ」と話している。
先進国の民間企業は、リスクが高いアフリカ諸国では、おいそれとプロジェクトを手がけることはできない。そこに中国がやってきて、人権問題や環境問題にうるさいこともいわず、油田やガス田を開発し、インフラを造ってくれるのだから、相手方にとっては実に有難い話だ。中国は恩を売り、借款で縛り付け、国際社会でアフリカ諸国からの支援も取り付ける一石二鳥だ。
レアメタルなど鉱物資源の獲得についても、中国政府は明確な世界戦略を持ち、積極的に取り組んでいる。2006年には、青海省とチベット自治区を結ぶ全長1145キロメートルの青蔵鉄道を建設したが、これは付近に存在する大量の銅、鉄鉱石、鉛、亜鉛などの鉱物資源を手に入れるためだ。
コンゴ民主共和国に対しては、2007年に50億ドルの借款を行うことに合意し、見返りとして、銅、コバルト、金、ニッケルの採掘権などを得た。ザンビアでは、銅鉱山に巨額の投資を行っている。その他、南ア、ナミビアと銅や鉄鉱石の買い付け契約を結び、ニジェールでウラニウム探鉱活動を行い、ジンバブエで炭鉱やクロム鉱開発に合意、ガボンで鉄鉱石開発に合意している。さらに海洋の石油、ガス、鉱物資源もフルに生かすために、東シナ海などで活発に探査活動を行っている。