価値が確実に下がるエリアはどこか

今後確実に価値の下がるエリアが存在すると断言するのは千日氏だ。

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「ご存じのとおり、これから日本の人口は減っていきます。そこで国土交通省は2014年8月に施行した“改正都市再生特別措置法”に基づき、“立地適正化計画”というものを発表しました。例えば駅のそばなどに“居住誘導区域”というエリアを定め、住民はなるべくそこにまとまって住んでもらいます。そして“都市機能誘導区域”には病院や商業施設、福祉施設などをまとめて設置します。このように街をコンパクトにすることで福祉や行政サービスの効率を上げるのが目的です」

ということは、「居住誘導区域」からはずれた場所に家を買ってしまうと、今はそこそこ便利でも、将来的には日々の買い物や通院にも不便な場所になる可能性が高いということだ。資産価値も下がり、いざというときに売りたくても買い手がつかないということになりかねないのである。不動産会社には告知義務がないので、勢いで買ってしまったが、実は居住誘導区域外だった、ということがないよう注意したい。

もう1つの「買ってはいけない」エリアは、言うまでもないが、災害リスクの高い地域だ。まずその土地が災害に強いかどうかを見極める必要がある。

「不動産購入にあたって、まず何よりも重視すべきなのは“地盤”です。いくら建物が免震構造でも、肝心の地盤が弱ければ何にもなりません」と言うのは四宮氏である。

「川沿いや臨海部、崖地が特に危険です。最近は土砂崩れが頻繁に起こっていますが、その多くはハザードマップで危険と指摘されています」

立地適正化計画もハザードマップも各地方自治体が公表している。手間を惜しまず、購入前に必ずチェックしてほしい。

さらに四宮氏は「タワーマンションは災害に弱い」と指摘する。

「タワーマンションの高層階は眺めがよくて素敵ですよね。でもそこだけを見て購入してしまうと、大地震が起きて電気や水道などのライフラインがストップしたときに後悔することになります」

停電になればエレベーターは動かないし、水道が止まれば給水車が配る水を入れた容器を持って、自宅のあるフロアまでの階段を上り下りするはめになる。

災害への備えという意味では、「地震保険には必ず入っておいたほうがいい」と言うのが千日氏である。

「地震保険に入っていないと、地震によって発生した火災で被害にあっても、火災保険だけでは保障されません。また、地震保険は政府によって再保険され、実質的に保険会社は事務代行をするのみで一円も儲かりません。つまり地震保険よりも安い保険はないといえます」