新築は住んだ瞬間に中古物件になる

実際の物件選びに際しては、新築か中古かも悩むところだ。四宮氏は「新築のほうが気分がいいという気持ちはわかりますが、新築にこだわると選択の幅が狭くなってしまいます」と中古を含めた検討を勧める。なぜなら、高価な新築を買っても、それを売ることになれば、たった1日住んだだけでも中古物件の値段に下がってしまうからだ。

第一、新築を買いたくても、ここ数年、新築物件の供給数は減少し、価格も高騰している。東京オリンピックを控え、工費が上昇していることや人手不足などがその理由だ。

「17年度の首都圏の新築マンションの平均価格は5908万円と、6000万円台に近くなっています(不動産経済研究所発表)。これでは普通の会社員が新築マンションを買うのは難しいでしょう」(四宮氏)

中古マンションの購入時は、前述したように、災害に強い土地かどうか、将来寂れてしまうエリアでないかなどを調査すべきなのは言うまでもない。そのほかにチェックすべきなのが(1)「修繕積立金の残額」、(2)「管理組合が健全に運営されているかどうか」、(3)「管理人やほかの住人がどんな人か」だと四宮氏は言う。

(1)の「修繕積立金」とは、マンションの補修工事に備えて管理組合が積み立てておくお金である。住人は管理費とは別に毎月修繕積立金を徴収される。

「長期間にわたってマンションの建物を維持保全するためには、共有部分を定期的に修繕する必要があります。中古マンションの場合、過去に住人たちが積み立てた修繕積立金が蓄えられているはずです。この金額が少なすぎると、いざ大規模修繕工事が必要になっても工事ができなくなったり、いきなり100万円単位のお金を要求されたりすることもあります」(四宮氏)

修繕積立金がいくらあるかは、管理会社に請求しないと見せてくれない場合もある。修繕工事の計画や履歴とともに確認しておこう。

(2)の「管理組合の運営」や(3)の「管理人やほかの住人がどんな人か」は、実際に物件を見に行き、彼らと言葉を交わしてみること。それに加えて四宮氏は、物件の掲示板をチェックすべきだと言う。

「清掃の予定日や子ども向けの催し物のお知らせなどが貼ってあれば、プラスに評価できます。それだけ管理が行き届いているということですし、コミュニティがしっかりしていることがわかります」(四宮氏)

ただ、中古物件の安全性に不安を覚える人もいるだろう。そういう場合は、住宅診断士に費用が5万~7万円程度の「ホームインスペクション(住宅診断)」を依頼し、欠陥がないかなど、安全な物件かを確認してもらうことができる。