給与水準に「高過ぎる」「安過ぎる」は不毛

国家公務員の給与水準について「高過ぎる」「安過ぎる」といった議論は不毛だ。人事院は公務員の給与を決めるに当たって、「民間企業従業員の給与水準と均衡させること」を基準にしている。だが、しばしば指摘されるように「民間」といっても「企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所」を比較対象にしている。中小零細企業はもともと相手にしていないわけだ。

給与水準は職種や仕事の内容によって大きく差があり、どの数字を使うかでまったく姿が変わる。国税庁の民間給与実態統計調査では2017年の平均給与は432万円ということになっているので、これと比べれば公務員給与は200万円以上も高い、という話になってしまう。

問題は、労働の対価として適正かどうか、という観点でみるべきだろう。中央官庁の官僚は給与に見合った働きをしているか、それだけの時間とコストを費やすべき仕事をやっているか、ということだ。

本当に「税金を使って」やるべき仕事か

中央官庁の場合、幹部官僚にとっての「成果」は新しい仕事を作ること。法律を通して事業を行うわけだが、いったん出来上がった仕事はなかなか見直されない。実際の内容はほぼ同じなのに名前を変えて事業を続けるということはあるが、過去からの事業を廃止するということは滅多にやらない。それをやると、予算と人員が減らされることになるからだ。課長としての能力は「いかに予算を取って来るか」であって、「いかに効率化したか」ではない。よって、中央官庁の仕事はどんどん膨らみ、官僚たちは日々、忙しく働いている。

だが、それが本当に「税金を使って」やるべき仕事なのか、という検証はなかなかされない。

基本的に官僚機構の仕事は「付加価値」を生まない。あるいは付加価値がごく小さいものだ。付加価値を生む事業だったら、さっさと民間に任せればよい。それが規制改革による民営化の原点だ。だが、ともすると、官僚機構は「公益性」の名前の下で、本来は民間ができることまで官僚機構でやろうとする。