会社を定年退職すると、「退職金」と「企業年金」は、一体いくらもらえるのか。実態を探るため、今回3人の年金生活者に詳細を聞いた。第3回は公務員OBで65歳の山本さん。毎月の収入37万円の内訳とは――。
※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年1月1日号)の特集「老後に困るのはどっち?」の記事を再編集したものです。
公務員OB
山本章造さん(仮名)65歳
大学卒業後、東京都特別区の職員として入職。建築・土木、福祉、教育など多くの部門を経験し、課長職で退職。60歳以降は再任用で65歳まで勤務。一方、40歳から地元の子ども会会長として積極的に地域活動に参加している。
山本章造さん(仮名)65歳
大学卒業後、東京都特別区の職員として入職。建築・土木、福祉、教育など多くの部門を経験し、課長職で退職。60歳以降は再任用で65歳まで勤務。一方、40歳から地元の子ども会会長として積極的に地域活動に参加している。
生命保険を整理し、車もレンタカーを検討
60歳で東京都内の区役所を退職し、5年間の再任用期間を終えた山本さんは「自分の経験を地域のために役立てたい」と、今後の抱負を語る。
課長職だった山本さんの定年時の退職金は約3000万円。公務員の退職金は基本的に退職時の基本給×支給率(月数)に加えて役職別の調整額がプラスされる。「平均的な金額ではないですか。部長クラスでも4000万円を超えることはないと思います。でも今は支給率が抑制されていますし、現役の後輩世代は3000万円を切ると聞いています」。
この3000万円は全額が退職一時金だ。企業年金に近いものとして「職域加算退職給付(※)」があり、公的年金に月額約2万円程度が上乗せされる。山本さんは退職前に住宅ローンは完済しており、3000万円のほとんどを定期預金に入れている。60歳以降の再任用期間中の給与は半額まで減ったが生活に困ることもなく、定期預金を取り崩すこともなかった。
※2015年10月の年金制度改革で廃止。現在は「年金払い退職給付」に引き継がれている。
現在の収入は公務員時代の退職共済年金が厚生年金に統合されたが、公的年金の支給額が専業主婦の妻との合計で25万円。これに職域加算の年金月額2万円が上乗せされて計27万円。
これだけで生活するのは大変だが、山本さんは若いときから積み立てていた個人年金から月額10万円を受け取っている。
▼山本さんの月収入内訳
・職域加算年金2万円
・国民年金+厚生年金25万円
・個人年金10万円
⇒約37万円/月
・職域加算年金2万円
・国民年金+厚生年金25万円
・個人年金10万円
⇒約37万円/月