会社を定年退職すると、「退職金」と「企業年金」は、一体いくらもらえるのか。実態を探るため、今回3人の年金生活者に詳細を聞いた。第2回は外資系企業OBで69歳の三浦さん。毎月の収入37万円の内訳とは――。

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年1月1日号)の特集「老後に困るのはどっち?」の記事を再編集したものです。

外資系企業OB
三浦吾郎さん(仮名)69歳

大学卒業後、出版社に入社。その間に米国の大学院で修士号を取得。38歳で渡米し、米国企業に勤務し、バイスプレジデントを経て外資系日本法人の経営コンサルタント会社に転職。14年間勤務し、66歳で引退。

お金がないと、夫婦仲もわるくなる

「老後の生活費として1億円の貯蓄が必要とよくいわれます。でもそれだけあっても毎年500万円を取り崩していくと20年でなくなる。大事なのは毎月5万円なり10万円を生み出していくような投資の設計を自分で考えること。そうしないと人間は気持ちに余裕がなくなり、大体夫婦仲もわるくなります。女性はお金に敏感ですから」

外資系企業OB 三浦吾郎さん(仮名)

三浦さんは投資のポイントをこう語る。日本の出版社を退職後38歳で渡米。約10年間米国企業に勤務後、外資系日本法人の経営コンサルタント会社に転職。66歳で引退した。終身雇用の日本企業の社員の企業年金と比べて、転職を前提とする外資系企業の出身者は不利と思われがちだが「外資でも大きい会社の年金はそれなりに手厚い。年功ではなく役職が上の人ほど金額も大きい」と語る。

三浦さんが投資に目覚めたのはアメリカ勤務のとき。退職した出版社の退職金約900万円を日本の定期預金に入れていたが当時は円高ドル安時代。ドルだと1.3倍の価値になり、アメリカに移して投資信託で運用した。「日本の会社を若くして辞めたので老後は困るだろうという意識がありましたし、お金を生んでくれるものは何かを研究した」と言う。目をつけたのは不動産投資だった。

最初に日本で投資用の小さなアパートを購入した。その後、米国企業の退職金や外資系日本法人の報酬の一部を費やして不動産を少しずつ買い増していった。60歳になる頃にはある程度の賃料収入を得るまでに。ただ、誤算だったのはコンサルタント会社に企業年金制度がなかったことだった。