さらに産経社説は「政教分離は、政治権力と宗教の分離が目的である。天皇や皇族は権力を持たないし、宗教団体を擁さない。大嘗祭をはじめとする宮中祭祀を一般の宗教と同列視して、私的行為と見なす必要はないのである」と書くが、この指摘は理解できる。
政府を支持しながら秋篠宮さまもフォローしている
産経新聞の読者には皇室ファンが多い。それゆえ秋篠宮さまの発言をむげには扱えないのだろう。
「費用を節約し、行事を簡素化しようと促された秋篠宮さまのご発言は、国民の負担をできるだけ少なくしようというお考えとして受け止めたい」と書き、きちんとフォローしている。
さらに産経社説は秋篠宮さまを強く支持する。
「秋篠宮さまのご発言に対して、天皇や皇族が控えられるべき政治的発言ではないかとの指摘があるが、見当違いだ。皇室のご活動に関わる重要な事柄に天皇や皇族が考えを示されるのは当然であり、封じ込められるべきではない」
ここで産経社説をもう一度初めから読み返してみると、政府見解を強く支持しながら秋篠宮さまの発言や立場もうまく考慮している。
産経社説は読売社説以上に保守的なところがある。もろに安倍政権も皇室も批判しにくい。そうした産経新聞らしい、実に巧みな論調なのである。ただしこの論調が日本の社会にとって良いのか、悪いのかは別の話である。