「前例踏襲」の元凶は安倍首相の逃げ腰にある
秋篠宮さまら皇族側との水面下での調整はどうなっていたのか。宮内庁は機能不全に陥っている。
そもそも大嘗祭を公費で賄うという決定は前回の平成のときの踏襲に過ぎない。宗教色の強い大嘗祭に公費を使うことへの反対意見は強く、安倍政権が議論に時間がかかる憲法の政教分離の原則に触れるのを避けようと、そのまま前例を踏襲した点に大きな問題があると思う。元凶は安倍晋三首相の逃げ腰にある。
天皇の高齢を心配されてのことだったと思うが、過去にも秋篠宮さまは天皇の定年制の必要性などについて記者会見で発言されたことがあった。歯に衣着せない率直な性格なのだろう。だからはっきりと物事の是非を言って周囲を驚かせる。
今回の発言も異例ではある。それだけに学者や研究者ら専門家の評価は「政治的発言だ」「いや違う」と大きく分かれる。
「憲法の制約を受けるのは天皇だけ」なのか
秋篠宮さまに対する批判を上げると、たとえばこんな意見がある。
「国の多額の予算と公的行事のあり方に異議を唱える極めて政治的発言だ」
「政府の決めたことに記者会見という公の場で異論を唱えたことは不適切」
「秋篠宮さまはご自身が即位して大嘗祭の主催者になる可能性もあってその発言は大きな影響を持つ」
これに対し、同情的な意見はこんな具合である。
「憲法の制約を受けるのは天皇だけで、皇族は政治的発言ができる」
「今回はすでに決定したことにつての意見で何の問題もない」
「皇室の行事に多額の税金を使うことへの苦しいお心を伝えたかったのだろう」
「皇室の神道行事が戦前のように国の行事になることを心配して問題を提起したのだと思う」
さてこのように賛否が大きく分かれる秋篠宮さまの“大嘗祭発言”に、新聞各紙の社説はどう切り込んでいるのか見ていこう。