自分の資産がいくらか子供に言わない親も多い
それらがなんとか済んだ後、相続の手続きが始まります。相続人による遺産分割協議が確定することで凍結は解除され、預貯金の分配されることになります。
ただ、これは亡くなった要介護者に預貯金などの資産があることがわかっている場合です。子どもであっても親に資産があるかどうかわからないこともあるでしょう。
最近では“終活”が高齢者に啓蒙され、エンディングノートに保有する預金や有価証券、生命保険などの情報を書き込む人も出てきましたが、そういうことは考えたくないという人もいます。子どもに対しても、自分の資産がどのくらいあるか、言わない人もいるのです。
人が亡くなれば家族・親族は遺品の整理をすることになります。それによって故人の名義の預金通帳や有価証券が見つかればいいですが、自分以外の人に使われたくないという思いから、見つかりにくいところに隠しているケースもある。
また、認知症になった人は通常では考えられないことをすることがありますから、通帳やカードを捨ててしまうことだってあり得ます。それで資産があるかどうか、家族が把握できないままになってしまうこともあるわけです。
10年間出入金の取引がない預金口座は「休眠預金」扱い
2018年1月に施行された「休眠預金等活用法」という法律があります。10年間、出入金などの取引がなく放置された預金口座は「休眠預金」と見なされます。この時点で金融機関は口座の名義人に郵送で通知をし、しばらく待ちますが、それでも連絡がない場合、口座のお金は預金保険機構に移管され、政府が指定した組織などを通じて、地域の活性化や子育て支援などに取り組む公益団体への助成金となるのです。
故人に高額の預貯金があったとしてもその通帳が見つからなかった場合、また、休眠預金になるという通知に気づかなかった場合、そのお金は国のものになってしまうのです。
なお、休眠預金が機構に移管された後でも相続人などからの申し出があれば金融機関は引き出しに応じてくれるようですが、10年以上放置されていた口座の存在を家族が気づくことは少ないのではないでしょうか。