人間は咀嚼リズムの反射を持っていて、口の中に食べ物を入れると、特に意識しなくても噛み始め、ある程度咀嚼できると飲み込んでいる。「それなのに、夜中、口の中に食べ物が入っていないのに、勝手に噛みしめたり歯をすり合わせてギリギリ動かしたりするような、咀嚼に似た動きが始まってしまうのはなぜなのか。原因はわかっていない」と木野氏は説明する。
「もしかしたら、TCHがあると、こうした『口の中に食べ物が入っていないときには、咀嚼のような動きをしない』というメカニズムが停止してしまうのかもしれない」
胃から食べたものや胃液が逆流する、逆流性食道炎の場合も歯ぎしりや食いしばりが起きることがあるが、これは、胃液などを中和するために無意識に唾液を飲み込もうとして、噛みしめてしまうためではないかと考えられている。さらに、前日に怒りや悲しみなどのストレスがかかっていた場合、そのストレスを開放させようとして歯を噛みしめる動作が起きるという説もある。「歯ぎしりや食いしばりの原因として挙がっているのは、今のところTCH、逆流性食道炎、前日のストレスの3つ。ただ、TCHによるものが圧倒的に多いので、TCHを是正すると、歯ぎしりや食いしばりが改善されることが多い」と木野氏は説明する。
力を抜いて頭を空っぽにし、座った状態で背筋を伸ばし、くちびると目を閉じて以下のチェックを行おう。
(1)上下の歯と歯が接触していますか?
A まったく触れ合っていない
B 奥歯だけ触れている
C 前歯だけ触れている
D ぴったりとかみ合っている
(2)舌はどこを触れていますか?
A 舌先が上の前歯の裏側についている
B 上顎の面に舌全体がぴったりついている
C 舌先が下の前歯の裏側についている
(3)口を閉じたまま上下の歯を離した状態にすると、どんな感じがしますか?
A 違和感がない
B 違和感がある
(4)口を閉じたまま上下の歯をくっつけた状態にすると、どんな感じがしますか?
A 違和感がある
B 違和感がない
【判定結果は……】
1~4の項目のうち、B~Dが1つでもあった人はTCHを持っている疑いが濃厚。
(注)2の舌の位置については個人差が見られるため、この項目だけでTCHがあるという判断はできない。
※木野氏への取材をもとに編集部作成。