天草エアは小さな会社ゆえに、1人が欠けても業務はままならない。そんな職場でえられるのは、みぞか号を自分たちの力で飛ばすやりがいと充実感だ。
「他社によりよい条件でスカウトされてもおかしくない技量を持つスタッフも大勢います。でも彼らが天草エアに残るのは、地元の思いを背負っている誇りがあるからです」
登場人物はすべて実名。誇りに対する共感が、事実を積み重ねるノンフィクション・ノベルとして結実した。
「人口15万人ほどの島で飛行機を飛ばすのがいかに大変か。それをやり遂げた人たちの努力がいかに尊いか。16年間、天草の空を飛んだダッシュ8の一生を通して、知っていただければ、と」
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社を経て作家となる。