イメージだけなら武蔵野・浦安は「良好」、足立・川崎は「劣悪」

こういう例で固有名詞を出すのも気が引けますが、東京都足立区、同武蔵野市、神奈川県川崎市、千葉県浦安市について、それぞれの人口1万人当たりの刑法犯認知件数を想像してみてください。少ない順に並べるとどうなると思います。

大原瞠『住みたいまちランキングの罠』(光文社新書)

これら4市区を引き合いに出したのは、それぞれ特徴的なイメージを持った都市だからです。まず足立区は、ヤンキーやヤンママが多いといわれるほか、犯罪が多発する危険なまちというイメージが定着しています。

次に武蔵野市ですが、住みたいまちアンケートで毎年のように首位を争う「吉祥寺」を擁しているまちです。新宿・渋谷両方への鉄道交通の便がよいのに、地元にも十分な商業集積があり、さらに井の頭公園や成蹊大学など緑豊かで、ゆったりとした街並みを持っています。

続いて川崎市ですが、工業都市・公害都市として過去から積み上げられたガラの悪いイメージが残っています(何年か前にも全国的に連日報道された凶悪犯罪で世間の注目を集め、悪いイメージが焼き直されてしまいました)。

最後の浦安市は、古くは漁師町だったのですが、東京ディズニーリゾートを擁し、市役所は豊富な税収を誇り、行政サービスが手厚い新興住宅地というイメージに変わっています(地元の成人式はなんとディズニーランド内で開催!)。

以上、あえて意図的な書き方をしてみました。要するに世間の風評では、武蔵野市、浦安市はイメージ良好、足立区、川崎市のイメージは劣悪、ということがいいたいのです。そしてよいイメージのある都市なら、まちも安全だろう……とつい思ってしまいがちです。