また、足立区についても、かつてはもっと刑法犯認知件数が多かったのですが、区を挙げての「ビューティフル・ウィンドウズ運動」などの取組により犯罪の発生抑止に努め、図表2の通り、ここ10年ほどの間に件数は激減しています。

センセーショナルな犯罪報道がまちのイメージを錯覚させる

それにしても、なぜ私たちはこのように、まちの安全について事実やデータと異なるイメージ(思い込み)にとらわれやすいのでしょうか。そのことを考えるのに最適なのが、よくニュースで凶悪少年犯罪事件などが報じられるたびにいわれる、「ここ10年ほどで、凶悪少年犯罪が増加している!」といった趣旨の意見です。実は、そうした主張を裏づけるために正確にデータを取ってみると、いわゆる少年凶悪犯(殺人・強盗・放火等)のピークは昭和30年代ですし、少年人口千人当たりの犯罪検挙数のピークは昭和50年代後半と、今より昔のほうがずっと少年犯罪は多かったという事実が浮かび上がってきます。

それなのに、私たちの頭の中には事実とはまったく逆のイメージが焼き付いているのはなぜなのでしょうか。おそらくテレビ、新聞、週刊誌といったメディアが進化して、少年犯罪の報道がセンセーショナルに取り上げられ、人々の目と耳に届きやすくなった結果、私たちは犯罪数自体が多くなったと錯覚してしまっているのではないでしょうか。