仮審査にかかる時間は最短60分に短縮

そして、AI導入による最大のメリットは、審査の時間短縮だ。ネット銀行であるソニー銀行は、メガバンクなどに比べて審査する人も少なく、申し込みが多い時期には審査に時間を要することがあった。仮審査の期間は2~6日程度かかり、マイナス金利導入で購入やローンの借り換えが活発化した時期などは、さらに審査の待ち時間が長くなる場面もあったようだ。そこで、AI自動審査を企画し、行内の技術者の参加も得て、2年という短期間で導入に至った。これにより仮審査にかかる時間は最短60分に短縮された。

スピーディに結果を得られるのは、利用者にとってもメリットが大きいといえる。

住宅購入時には、ローンの仮審査をとおらないと手続きが進まない。とくに中古住宅の購入では、審査に時間がかかると、その間に別の購入希望者に先を越される可能性もある。

ネット銀行とAIは、親和性が高い

またローンを借り換える場合も、審査を待っている間に金利が上がってしまったり、その後の手続きが面倒になってしまったり、といった事態も想定される。

ちなみに、仮審査を通過すると本審査となるが、収入などの申請内容が異なる、物件に違法性がある、健康状態などから団体信用生命保険に加入できない、といったケースを除き、本審査で否決されることはほぼない。

AI導入は経営コストを抑えることにもつながると考えられ、低コスト経営でサービスを充実させる志向のネット銀行とAIは、親和性が高いといえそうだ。

深田晶恵
ファイナンシャルプランナー
生活設計塾クルー取締役。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」がモットー。『住宅ローンはこうして借りなさい』など著書多数。
(構成=高橋晴美 写真=iStock.com)
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