約8万件の審査データを学習し、人間並みを実現
三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループのメガバンク3行は、人工知能(AI)を活用して業務の効率化をはかる計画を掲げている。2018年5月には、インターネット専業のソニー銀行が住宅ローン仮審査にAIを活用し、自動化した。住宅ローン審査をAIが行うことで、何が変わるのか。
AIには、人が何を学習するかを定義し、与えられた情報を学習して自律的に法則やルールを見つけ出す「機械学習(マシンラーニング)」と、学習する事柄も自身で見出して動作する「深層学習(ディープラーニング)」がある。
同行のAI審査は機械学習によるもので、過去4年分、約8万件の審査データを学習。人がどう判断するか、その法則やルールを見つけ出し、人が判断するのと同様の審査結果を出す、というものだ。
「機械的にバッサリ切られる」といった心配はない
通常、住宅ローン審査では、返済比率(年収に占める年間返済額の割合)や収入の安定性、信用情報などが審査される。同行によると、人による審査では返済比率が高いと融資に慎重になる傾向があるのに対し、AIでは返済比率に著しく偏ることなく、収入の安定性や完済時の年齢、自己資金の割合などから総合的に判断するという。
人の判断では個人差が生じることもあるが、AIなら画一的な審査結果が得やすいというのも利点だ。
AI自動審査では、「可決」「否決」に分けられるほか、全体の20%程度は「保留」となり、「人」による審査が行われる。人が判断する部分もあるので、「AIだから機械的にバッサリ切られる」といった心配はない。AIといっても、人の判断を模倣するという性質上、万能ではないという前提で運用されること、また保留分については人の判断を介する、という点は、むしろ信頼できる印象だ。