個人型確定拠出年金(iDeCo)は継続的に資金を積み立て、60歳以降に受け取る年金づくりのための制度。拠出額(積立額)が所得控除されて税負担が軽減されるほか、運用益が非課税になるなどのメリットがある。
積み立てるお金は自身で商品を選んで運用するが、いずれの金融機関も元本が確保される預金や保険、複数の投資信託をラインナップしている。5月からの制度変更で、商品数を35本以内にするよう制限され、35本を超えている金融機関では5年以内に35本まで絞り込むことになる。商品数はそれで十分だろう。
iDeCoでは60歳まで積み立てられ、60~70歳の間に給付開始で、年金方式で有期または終身の期間で受け取るか、一時金として一括で受け取るかを選択できるほか、年金と一時金を組み合わせて受け取ることも可能だ。
つまり50歳ではじめても10年もの運用期間があり、預金で運用したのではインフレ(物価上昇)に追いつけない可能性がある。また預金商品では得られる利益も小さく、運用益非課税になるメリットも活かせない。
インフレ率を上回る投資成果をめざし、運用益非課税のメリットを活かすには、投資信託が選択肢になるだろう。
投資信託には元本割れのリスクがあるが、普通に投資するのに比べ、iDeCoを使って積み立て方式で投資することでリスクが抑えられる。1度に投資すると高値で買ってしまう失敗をしやすいが、積み立てなら高い時期にも、安い時期にも買うことになり、平均買付単価が抑えられると考えられているからだ。これを「時間分散効果」といい、投資において最も重要なセオリーとされている。