株を保有すると、値上がりしたところで売ることで得られる売却益のほか、「配当金」、企業によっては「株主優待」というリターンもある。
株式の配当金や債券の利子などを目的とした投資を「インカム投資」といい、現在は企業が配当金を増やしており、配当金を狙った株式投資の魅力が高まっている。株価に対してどの程度の配当金が得られるかは「配当利回り」という指標で示されるが、JT、武田薬品工業、NTTドコモなど、有名企業や財務指標の優れた優良企業にも、配当利回りが3%台、4%台という例が少なくないからだ。
TOPIX(東証株価指数)に値動きが連動するETF(株式市場に上場している投資信託)の分配金は、TOPIX採用銘柄の配当金の額を反映するが、2002年には260円だった分配金が17年には約2600円と、約10倍に増えている(TOPIX連動型ETFの主要3銘柄の平均)。
ここまで配当金が増えているのには、ここ数年、企業が株主重視の姿勢を強めていること、また商法改正で配当金を出しやすくなったという背景がある。従来、配当金として払い出せるのは当期利益からのみだったが、商法改正により、過去の利益の積み上げなどの剰余金からも配当できるようになったのである。
つまり当期赤字であっても配当が出せるということであり、実際にパナソニックでは過去、赤字に転落しても剰余金から配当したことがあるし、シャープも赤字1年目では配当を出した。業績が悪化すれば株価が下がり、そのうえ配当がゼロでは株主は離れ、さらなる株価下落の要因になり、買収のリスクにもさらされる。それを防ぐためにも、多少無理しても配当を出し、株主を繋ぎとめるというわけである。