個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数が増加している。
iDeCoとは、任意で老後資金づくりをするための制度で、加入者は一定の範囲内で定期的に資金を積み立て(拠出)、60歳以降に受け取る。拠出金(積み立てるお金)は全額が所得から控除されて所得税や住民税が軽減される、運用利益が非課税になる、受取時は公的年金等控除などが適用されて税が軽減されるメリットがある。
以前は対象が自営業者や企業年金のない会社員に限られていたが、2017年1月からは企業年金のある会社員、公務員、専業主婦(主夫)にも拡大。加入者は増加し、18年3月時点で85万人を超えた。1年前の約2倍に急増した。
とくに目を引くのが、公務員の加入である。会社員は高年齢者雇用安定法により、本人が希望すれば65歳まで雇用が延長されるが、公務員にその定めはなく、60歳で定年退職を迎える。現在、現役で働く人の大半は公的年金の支給開始が65歳であり、それまで無年金。60歳でリタイアとなれば5年分の老後資金が必要だ。そのため、節税メリットのあるiDeCoに加入する公務員が増えているのだろう。
またiDeCoは60歳まで資金を引き出すことができないため、教育費などが不足したときに困る危険もある。今はよくても収入が減ったら……、リストラにあったら……と思うと、iDeCoで60歳まで資金を凍結するより、いつでも引き出せる商品で運用したい、と感じる人も多い。
その点、身分も収入も保障されている公務員なら人生設計がしやすく、自営業者などに比べてはじめやすい、という背景もあるだろう。