対談:アートはコレクターの“生き様”

前澤氏は世界的な美術品コレクターとしても知られる。2017年5月にはバスキアの絵を約123億円で落札し話題になった。

(左)東京藝術大学大学美術館 館長 秋元雄史氏、(右)スタートトゥデイ代表取締役社長 前澤友作氏

【秋元】美術品を買うようになったのはいつ頃からですか?

【前澤】初めて“億超え”となるような作品を買ったのは10年ほど前です。リキテンスタインの絵画でした。

【秋元】なぜアメリカの現代アートだったのでしょう?

【前澤】会社の壁に飾るために、オフィスの内装やそこで働く人たちのファッションに合う作品をと探していたら、リキテンスタインになったんです。

【秋元】その後、精力的に美術品を集めていかれましたよね。

【前澤】最初から集めようと思って始めたわけではないんですよ。引っ越すたびに壁も多くなり、季節によっても変えたくなってきたりと、自然に増えてきたんです。

【秋元】かなり熱を持って作品のことを調べられるようです。知識欲も相当おありになる印象を受けたのですが。

【前澤】好きになった作家のことは知りたくなりますし、その人のベストの作品が欲しくなります。バスキアはかなりたくさん見た中で、17年5月に買ったブルーの作品が、自分にとってはものすごいマスターピースでした。

【秋元】あれはバスキアの中でも本当にトップクラスの作品でした。いちばんいいモノをあれだけの金額で買える勇気はすごい。

【前澤】ありがとうございます。

【秋元】あれで美術界の人間は前澤さんの存在を強く意識するようになったし、いまの美術界を牽引していくパトロン的な存在になるのではと、勝手に期待しているんです。

【前澤】自分ではそんなたいそうな意識はないんですよね。申し訳ない(笑)。