人間は経験を積むほど、眼前で起きている光景をありのままに認識できなくなります。けれども無価値であると判断して見ていないものの中に、革新的なアイデアにつながる重要なヒントが隠れているかもしれません。これはアートを学ぶことで鍛えられるプラグマティックなスキルですが、もっと間接的に美術に親しむプログラムもたくさんあります。

リーダーの素養について分析した「ホーガンアセスメント」によると、戦略思考性と美意識は強い正相関にあることがわかっています。

なるほど、大塚製薬の大塚武三郎氏、ポーラの鈴木常司氏、ブリヂストンの石橋正二郎氏、セゾングループの堤清二氏など、名経営者が美術に造詣が深かった例は枚挙にいとまがありません。

「美術力を学ぶ」とは、世間でいいと言われている作品を自分もいいと思えるようになることではありません。知識を詰め込んで、他人と話を合わせることでもありません。

自分が本来的に持っている感性や心を動かされるものに軸足を置いて、仕事や人生を組み立てていく。自分がいいと思ったことを世に問うことが人々の共感を呼び、イノベーションを起こすのではないでしょうか?

▼論理的な経営では越えられない壁を美意識の経営が打ち破る!
●サイエンス重視の意思決定では解決できない……。
科学的な手法では「正解」はみな同じになる。
⇒結果、差別化ができずみな失敗する。
●美意識から生み出される発想が革新を起こす!
感性に基づく手法は独創的ゆえ差別化できる。
⇒美しい経営や製品は共感を呼び、支持される。