「BtoCやBtoBなど商材にもよりますが、自分(自社)都合のスケジュールだけで進めようとしない姿勢を表すことができているのが高年収の営業マンの傾向で、低年収の営業マンほど顧客の「いつ頃」というニーズを聞けていないということになります」(今西氏)
グラフを見ると年収が低い営業マンは商談時に決定権者が誰なのかを聞き出す割合が多いことがわかる。一方、高収入の営業マンはその割合が低い。これはなぜなのか。
「データだけでなく、実際に何人かの高年収の営業マンにヒアリングをした中でも明らかになっていますが、デキる営業マンは会話の中で経験的に決定権者をつかんでいる傾向にあります。たとえば、ある外資系メーカーのトップ営業マンは決裁権者をつかむ方法として『次回は関係各位にもお集まりいただいて、今回決まらなかった内容について協議しましょう。決定に必要な方は次回全員呼んでください』と仕切りをして決裁者を同席させています。一方、低年収営業マンは直接決裁権者が誰か聞いてしまっているのでしょう」(同)
続いて、下のグラフは、青線は高評価営業マンがその項目に費やしている時間差で、高評価営業マンが聞けていて、低評価営業マンが聞けていない項目は青の数値が高くなる。赤線は顧客側の評価を表し、数値が低い項目は相対的に、顧客はそのことを聞いてもらいたいのに営業マンがあまり聞けていないことを示す。青と赤の差が開いている項目ほど低評価営業マンの改善が必要といえる。
グラフから、商談時に顧客が聞いてもらいたい「問題の優先順位や制約条件」と「顧客が営業を受けようと思った理由」などはデキる営業マンは聞き出せていることがわかる。
「営業を受けたものの、顧客がいま何を本当に欲しがっているのか、何に困っているのかわかっていないケースが少なくありません。そこで有効な質問は『何に困っていますか?』というよりも『なぜ、今回弊社からの提案にお時間をいただけたのでしょうか?』という質問。顧客の頭の中も整理されるので質の高い提案を営業マンから受けられることにつながり、結果として商談も成立しやすくなるのでしょう」(同)
上の年収別グラフと比べると、「顧客の今後の計画・目指す方向」「商品・サービスが必要な時期」「問題の優先順位や制約条件」は年収が高い人ほど聞けている傾向。しかし、「顧客が営業を受けようと思った理由」は全年収帯で聞けていない。ココが狙い目か!