3 平野友朗
手帳はWeb、メモは紙

打ち合わせや会議のとき、私はノートを使わない。パソコンを持ち込むわけでもない。パソコンは、モニター越しにキーボードをカタカタやっていると、相手に「メールを処理しているのではないか」「話半分に聞いているのではないか」など不快な思いをさせることになる。相手に対して失礼だ。

では、打ち合わせ内容を何にメモしているかというと、A4サイズのコピー用紙だ。手で書いたほうがイメージが膨らむし、相手とイメージを共有しながら話を進めるのにも好都合。クリップボードに10枚ほどのコピー用紙をはさんでおけばだいたい間に合う。

なぜノートではなく、コピー用紙を使うのか。メモした内容をいちいち保管しておく価値はないと考えるからだ。ノートを使っていた時期には、記録した後で、不要と思える情報にバツ印をつけたり、取り消し線を引いたりしていた。しかしその行為自体が生産的でないうえ、結局、必要な情報を探すのに時間がかかる(検索性が悪い)ことに変わりはなかった。

私はいま、メモをした情報のうち必要なものだけをグーグルカレンダーのメモ欄に入力(転記)している。必要な情報だけがそこにあり、検索も容易に行えるメリットは大きく、その手間をかけるだけの価値がある。

「メモはノートに取り、保管しておくもの」という習慣を思い切って見直したことで、仕事の効率が大きく改善したと感じている。

たとえば、先日行った打ち合わせのメモはこんな内容だ。大阪でセミナーを開催する際のタイムテーブルや内容が決定し、会場はまだ選別中、そしてコストと利益の予測が記録してある。これらの情報はその日のうちにグーグルカレンダーの当該日に打ち込んだ。そうなるとメモ紙は捨てるだけ。

日付と関連づけられるものはすべてグーグルカレンダーに入力する。日付と関連づけることが難しいものは、グーグルカレンダーに並べて表示できるToDoリストに入力する。この流れができれば不要なメモやノートが増えることはない。講演やセミナー当日は、そのスケジュールとともに必要な情報がグーグルカレンダーに入力されているので、それを印刷して会場へ入ればいい。

ただし、例外はある。メモに取った内容のほとんどが有用で、かつ、グーグルカレンダーに打ち込むよりそのまま取っておいたほうが便利と判断した場合だ。その場合、案件ごとにクリアファイルに入れて時系列ごとなどにストックしておく。