トップ2宝塚、劇団四季に次ぐ3位「ヨドバシ.com」の秘密

17年度の調査結果を振り返ると、企業・ブランド総合1位・2位は宝塚歌劇団と劇団四季でした。「エンタテインメント」は顧客を楽しませる業種のため、満足度が高いのは大前提と言えます。いずれもターゲットが絞られており、座席数も決まっているため、顧客が増えてもTDRのように満足度が低下するようなことはありません。

総合3位はヨドバシ.com。同社はヤマダ電機やビックカメラのように多店舗展開をせず、店舗に来られない人にはネット販売で対応しています。ネット販売は配送が速いなど評価が高く、事業規模はヤマダ電機などに及ばないものの、同社の戦略は顧客に高く評価されています。

「ビジネスホテル」では、リッチモンドホテル(総合7位)、スーパーホテル(同9位)、ダイワロイネットホテル(同11位)、ドーミーイン(同12位)といった宿泊特化型ホテルが上位に入っています。リッチモンドやダイワロイは異業種からの参入です。ロイヤルホストなどを運営するロイヤルグループのリッチモンドは、宿泊料の機械精算や、代理店を通さず直接ネット予約できるなど、業界初の仕組みを導入してきました。また、大和ハウス系のダイワロイは施設のクオリティの高さが特徴です。ブランドの個性が高評価につながっていると考えられます。

「国内航空業種」で9年連続1位がスターフライヤー(同30位)です。北九州が拠点の航空会社で、ビジネス利用にターゲットを絞ったサービスが高評価を得ています。「ドラッグストア」で1位が続いているコスモス薬品(同33位)も九州の企業です。日用雑貨や食品も充実しており、広大な駐車場があることから、コンビニのような感覚で利用されています。その他、同業種内で満足度が高い企業として1000円カットのQBハウスや、女性限定のフィットネスクラブ、カーブスなどが挙げられます。

これら顧客満足の高い企業に共通していることは、ターゲットとする顧客が求めているサービスをしっかりと提供し、かつ、その価値を顧客が知っているということです。象徴的なのが総合4位の帝国ホテルです。「シティホテル」で9年連続1位ですが、単に高級ホテルだからというだけではなく、どういうホテルかを顧客が知っていて、そのニーズにきちんと応え続けているからこそ、高い顧客満足を維持できているのでしょう。

小野譲司(おの・じょうじ)
青山学院大学経営学部教授
慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士課程修了。博士(経営学)取得後、明治学院大学教授などを経て現職。専門はマーケティング、サービスマネジメント、顧客戦略。JCSIアカデミックアドバイザリーグループ主査。
(構成=増田忠英 写真=時事通信フォト)
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