ベンチのモチベーションの高さがチームの強さに

コロンビアからボールを取り上げる戦い方が失点のリスクを減らすことに役立ったとも言える。攻撃は最大の防御――いや、保持は最大の防御か。ただ、リスクマネジメントばかり優先していては、肝心のゴールは奪えない。

(ゴールを奪うための)リスクを背負いつつ、いかにバランスを崩さずに戦うか。キャプテンの長谷部が最も腐心したのは、そこだという。決定機の数こそ少なかったが、セットプレーのチャンスを生かし、勝利を呼び込んでいる。

香川との交代でピッチへ送られた本田圭佑のCKから、大迫が会心のヘッドで押し込んだ。本田をジョーカー(切り札)として使った西野采配もさることながら、大迫の頭に吸いつくような質の高いキックで待望の決勝ゴールを導いた本田も役者である。

この日の本田は見せ場こそ少なかったが、トップ下から盛んに右サイドへ流れ、したたかに数の優位をつくり出し、ポゼッションを高める渋い働きを演じていた。いかに「フォア・ザ・チーム」に徹していたかが分かる。誰かが――ではなく、ベンチを含む全員(1人ひとり)が勝つための役割をこなしていた。

強いチームはたいてい、ベンチに控える選手たちのモチベーションも高い。いつでもチームの助けになる――という当事者意識を持っているからだ。わずか3試合の準備試合で、すべてのメンバーを使い切るなど、指揮官のマネジメントがうまく転がっているように見える。

初戦以上に球際でのファイトが求められる

ただ、実際にそうだとしても、グループステージを勝ち抜けるかどうかは別の話だ。願ってもない条件(アドバンテージ)がいくつも重なる試合など、そうあるわけではない。

第2戦の相手は、初戦でポーランドを破ったセネガルだ。2-1というスコア以上の内容で勝利を収めている。速攻は鋭く、高密度で連動する守備の出来映えも見事なものだった。

しかも、コロンビアとは違い、前線のプレスが強力だ。被カウンターのリスクを抑えつつ、どこまで敵の圧力をかいくぐり、イニシアチブを取れるのか。ある意味、第1戦で「先送り」にされたミッションに挑むことになる。

肉弾戦に持ち込み、ファルカオに仕事をさせなかった吉田をはじめ、初戦以上に球際で激しくファイトすることも求められるはずだ。そこを避けては、セネガルの高速カウンターを阻止するのは難しい。ポーランドとの第3戦も同じことが言える。むしろ、日本の真価が問われるのは、これからだろう。

北條 聡(ほうじょう・さとし)
サッカーライター
1968年生まれ、早稲田大学卒業。1993年にベースボール・マガジン社に入社し、ワールドサッカーマガジン編集長、週刊サッカーマガジン編集長を歴任。現在はフリーランスとして、サッカーライター、サッカー解説者として活動中。近著に『サッカーは5で考える ――可変システムがわかれば試合が10倍面白くなる!』(プレジデント社)があるほか、『サッカー日本代表 勝つ準備』(共著、日本実業出版社)、『サカマガイズム』(ベースボール・マガジン社)、『正しいバルサの目指し方(サカマガトークJAM)』(共著・ベースボール・マガジン社)など著書多数。
(写真=AFP/時事通信フォト)
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